FreeNAS 0.7.2のインストールからディスク交換まで

HP ProLiant MicroServer玄箱やLinkStation、LAN DISKのようなNASとして使うべく、FreeNASをインストールして4台のHDDをRAID-5相当のRAID-Zで組んで高速かつ、1台が壊れても内容そのまま新しいディスクに交換したり、容量を増やしたり出来るような構成を組んでみた。

ハードウェア

FreeNASのRAID-Zはメモリを増やせば読み書き速度が上がるので、HP ProLiant MicroServer標準搭載のECC付1GBメモリをはずしてDDR3 PC3-10600 4GB×2枚(SILICON POWER SP008GBLTU133V21)の8GBに交換&増設した。
RAID-Zは後からディスク台数を増やしたり、減らしたり出来ないが、容量の大きなディスクへの交換は出来るので、標準搭載の250GB HDDをはずして2TB HDD(HITACHI HDS722020ALA330、0S03191)×4台に交換&増設した。ちなみに4KBセクタや3TBのHDDでも問題なく使える。
FreeNASはUSBメモリにインストール出来るので、HDDにシステムを入れなくて済むってことで、内蔵USBポートに4GB USBメモリpqi 6273-004GR1)を装着した。

ソフトウェア

FreeNASはリリース版としてFreeNAS 8が出ているがWebGUIを日本語表示に出来ない。β版(今日見たらRC1になってた)のFreeNAS 8.0.1は日本語表示に出来るが、ディスクフォーマットや容量の大きなディスクへの交換がWebGUIから出来ないみたいなので、今回は安定版であるFreeNAS 7(FreeNAS 0.7.2)を使うことにした。

インストール

  1. HP ProLiant MicroServerは64bit対応なので「FreeNAS-amd64-LiveCD-0.7.2.6694.iso」をダウンロードしてCDに焼いたものから起動
  2. 「Console setup」のメニューが出るまで待ち、「9) Install/Upgrade to hard drive/flash device, etc.」を選択してインストールを開始
  3. 最小インストールで十分なので「1 Install 'embedded' OS on HDD/Flash/USB」、「OK」と選択 ※1
  4. インストールしても良いか確認されるので「OK」を選択
  5. インストール元のCDドライブを「cd0 ZMVE Virtual CDRom 1.00」、「OK」のように選択
  6. インストール先のUSBメモリ等を「da0 3885MB 」、「OK」のように選択
  7. インストール終了の確認で「Press ENTER to continue.」が出たらEnterキーを押す
  8. インストールは終了なので「Exit」を選択
  9. シャットダウンさせるために「8) Shutdown system」を選択
  10. シャットダウンしても良いか確認されるので「Yes」を選択

※1 24MBほどのパーティションを作ってインストールされ、残り容量は未割り当てとなる
インストールおよび次の初期設定が終わった後はディスプレイ、キーボード、CD/DVDドライブが無くても問題なく使うことが出来る(シャットダウンは電源ボタンで行える)

初期設定

IPアドレスの自動取得、WebGUIの日本語化、タイムゾーンを日本に設定、WebGUIを開く際にコンピュータ名が使えるようにWindows共有機能の有効化を行う

  1. CDを抜いて電源ON
  2. 「Console setup」のメニューが出るまで待ち、「2) Set LAN IP address」を選択してIPアドレスの設定を開始
  3. 自動取得にしたいので「Yes」を選択
  4. IPv6の設定はしないので「No」を選択
  5. 自動取得したIPアドレスが表示されるので「Press ENTER to continue.」が出たらEnterキーを押す
  6. 別のPCからWebブラウザで「http://」に続けて先ほど表示されたIPアドレスをURLとして開く
  7. 「Username」に「admin」、「Password」に「freenas」を入力して「Login」を押す
  8. 「System」から「General」を開く
  9. 「Language」を「English」から「Japanese」に変更
  10. 「Time zone」を「Etc/UTC」から「Asia/Tokyo」に変更
  11. 「Save」を選択
  12. 「サービス」から「CIFS/SMB」を開いて「設定」を選択
  13. 「有効」にチェックを入れて、NetBIOS名(コンピュータ名)やワークグループなど必要に応じて変更した後、「保存して再起動」を選択

WebGUIの起動と終了

  1. 別のPCからWebブラウザで「http://」に続けてNetBIOS名(デフォルトは「freenas」)をURLとして開く
  2. 「ユーザ名」に「admin」、「パスワード」に「freenas」を入力して「ログイン」を押す
  3. 終了する場合は「システム」から「ログアウト」を選択

ディスク設定

ディスクはマネージメントで登録して、必要に応じてフォーマット、単体ディスクならマウント、複数ディスクならRAIDなどの設定をして、CIFS/SMBサービスで共有すれば使えるようになる。

  1. WebGUIの「ディスク」から「マネージメント」を開く
  2. 「+」(ディスクの追加)アイコンを選択
  3. 「ディスク」でFreeNASに登録するディスクを選択 ※1
  4. 「追加」を選択
  5. 「変更の適用」を選択
  6. 「ディスク」から「フォーマット」を開く
  7. 「ディスク」で初期化するディスクを選択 ※1
  8. ファイルシステム」の「ZFS storage pool device」を選択
  9. 「ディスクフォーマット」を選択
  10. 「OK」を選択(今回はad4〜ad10のディスク4台に対してこれを行った)
  11. 「ディスク」から「ZFS」を開いて「プール」の「仮想デバイス」を選択
  12. 「+」(デバイスの追加)アイコンを選択
  13. 「名前」を適当に入力(今回は「share」と入力した)
  14. 「タイプ」の「シングル パリティ RAID-5」を選択(RAID-Zのこと)
  15. 「デバイス」で使用するディスクを選択(今回はad4〜ad10のディスク4台を選択した)※2
  16. 「Advanced Format」にチェックを入れる(4KBセクタじゃないHDDで入れても問題ない模様)
  17. 「追加」を選択
  18. 「変更の適用」を選択
  19. 「ディスク」から「ZFS」を開いて「プール」の「マネージメント」を選択
  20. 「+」(プールの追加)アイコンを選択
  21. 「名前」を適当に入力(今回は「share」と入力した)
  22. 「仮想デバイス」で先ほど追加したデバイスを選択(今回は「share (raidz1)」)
  23. 「追加」を選択
  24. 「変更の適用」を選択
  25. 「サービス」から「CIFS/SMB」を開いて「共有」を選択
  26. 「+」(共有の追加)アイコンを選択
  27. 「名前」を適当に入力(今回は「share」と入力した)
  28. 「コメント」を適当に入力(今回は「共有ディスク」と入力した)
  29. 「パス」の「...」を選択して、先ほど追加したプールを選択してOkで閉じる(今回は「share」)
  30. 「追加」を選択
  31. 「変更の適用」を選択

※1 MicroServerの場合、3.5インチHDDベイの左端からad4、ad6、ad8、ad10、5インチベイがad1、USB接続はda0、da1…とデバイス名が割り当てられている
※2 2つ目以降はCtrlキーを押しながら選択する
※3 ディスク単体で使う場合、フォーマット(中身をそのまま使いたい場合はしなくても良い)まで行った後、「ディスク」から「マウントポイント」を設定して「サービス」の「CIFS/SMB」の「共有」を追加すれば良い

ディスク交換

WebGUIの「ディスク」から「ZFS」を開いて「プール」の「マネージメント」で「状態」が「DEGRADED」になっていたら、「プール」の「情報」で問題のあるディスクを確認し、シャットダウンしてディスクを交換する(※1、※2)

  1. WebGUIの「ディスク」から「ZFS」を開いて「プール」の「ツール」を選択
  2. 「コマンド」は「replace」を選択(プールが複数ある場合は問題のあるプールの選択も行う)
  3. 「デバイス」は交換したディスクのデバイス名にチェックを入れる
  4. 「新しいデバイス」は「デバイス」と同じものを選択する
  5. 「コマンド送信!」を選択

これで交換したディスクのリビルドが始まり、終われば「状態」が「ONLINE」に戻る(進行状況や残り時間は「プール」の「情報」から確認できる)
※1 交換前よりも大きな容量のディスクも使えるが、すべてのディスクが大きな容量になるまで実際に使える容量は増えないので注意
※2 交換用ディスクは予め別のベイかUSB接続するなどして「ZFS storage pool device」でフォーマットしてから行う。別のベイやUSB接続手段が無い場合は、FreeNAS 0.7.2のインストールCDがライブCDとしてインストールしないままFreeNASを使えるので、これでフォーマットすると良い

速度測定

MicroServerのGigabit LANアダプタはジャンボフレームに対応していないが、USB2.0で接続するよりもかなり速い

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CrystalDiskMark 3.0.1 x64 (C) 2007-2010 hiyohiyo
                           Crystal Dew World : http://crystalmark.info/
-----------------------------------------------------------------------
* MB/s = 1,000,000 byte/s [SATA/300 = 300,000,000 byte/s]

           Sequential Read :    35.275 MB/s
          Sequential Write :    90.999 MB/s
         Random Read 512KB :    31.770 MB/s
        Random Write 512KB :    97.869 MB/s
    Random Read 4KB (QD=1) :     5.291 MB/s [  1291.8 IOPS]
   Random Write 4KB (QD=1) :     6.139 MB/s [  1498.8 IOPS]
   Random Read 4KB (QD=32) :    26.978 MB/s [  6586.3 IOPS]
  Random Write 4KB (QD=32) :    22.043 MB/s [  5381.6 IOPS]

  Test : 1000 MB [Z: 0.0% (0.3/5309.7 GB)] (x5)
  Date : 2011/08/30 17:08:34
    OS : Windows 7 Home Premium Edition SP1 [6.1 Build 7601] (x64)

LogitecのLHR-DS02に同型のHDDを取り付けてUSB2.0接続で速度測定してみたが、シーケンシャルREAD/WRITEよりもランダムREAD/WRITEの差が大きいことに驚いた

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CrystalDiskMark 3.0.1 x64 (C) 2007-2010 hiyohiyo
                           Crystal Dew World : http://crystalmark.info/
-----------------------------------------------------------------------
* MB/s = 1,000,000 byte/s [SATA/300 = 300,000,000 byte/s]

           Sequential Read :    29.912 MB/s
          Sequential Write :    20.448 MB/s
         Random Read 512KB :    22.402 MB/s
        Random Write 512KB :    20.871 MB/s
    Random Read 4KB (QD=1) :     0.629 MB/s [   153.5 IOPS]
   Random Write 4KB (QD=1) :     1.343 MB/s [   327.8 IOPS]
   Random Read 4KB (QD=32) :     0.666 MB/s [   162.7 IOPS]
  Random Write 4KB (QD=32) :     1.344 MB/s [   328.2 IOPS]

  Test : 1000 MB [D: 0.2% (2.8/1863.0 GB)] (x5)
  Date : 2011/08/31 12:38:22
    OS : Windows 7 Home Premium Edition SP1 [6.1 Build 7601] (x64)