EMONSTER(S11HT)対応のAndroid 2.2をmicroSDカードにインストールする

以前、Android 2.2で無線LANが使えず、カーネルを入れ替えて使えるようになったことがあったが、その辺の整合性をちゃんと面倒見てくれるAtoolsってのが公開されてたので、これを使って入れなおしてみた。
microSDカード(1GB以上)にEMOBILE S11HTEMONSTER)対応のAndroid 2.2をインストールする場合は、Androidのシステムやデータは内蔵フラッシュメモリを一切使わず、全てmicroSDカードに格納される為、必要に応じてWindows Mobileを使うことも出来るし、工場出荷状態に戻してもmicroSDカードを初期化したりファイルを削除したりしない限り、Android側には何の影響も無い。

Androidのパッケージをダウンロードする

Android HTCプロジェクトからAndroid 2.2の最新パッケージであるsystem-froyo-01-10-10_16.tgzをダウンロード。
これはandroidinstall.tgz(もしくは.tar)に相当するファイルなので、別途必要となるzImage、initrd.lzma(もしくは.gz)、default.txt、haret.exeを入手しなければ使えない。AtoolsとHaRETを使ったインストール方法の説明ページに詳しく解説されているが、Atoolsを使うことでこれら必要なファイル群を自動的にダウンロード、生成することが出来るので、まずはAtoolsの最新版であるatools-1.0.3.pyをダウンロード。
Atoolsの動作にはPython 2.7以上が必要なのでPython 2.7 Windows installerをダウンロードしてインストールしておく。これで拡張子.pyがダブルクリック等で起動できるようになる。もちろん、WindowsでなくともPython 2.7以上が動作するなら何を使ってもかまわない。

AtoolsのNBH editorで必要なファイル群を準備する

  1. atools-1.0.3.pyを起動すると、NBH editorが開く。これは左上の三角定規とハサミのアイコンをクリックして開くことも出来る。
  2. 「Develop - 2.6.32」とある箇所をクリックしてカーネルの種類を選択する。「Develop - 2.6.32」なら開発版、「Stable - 2.6.35」なら安定版となる。今回は「Develop - 2.6.32」を選択した。
  3. 「Nand」とある箇所をクリックしてインストール方法を選択する。「Nand」ならスマートフォンの内蔵フラッシュメモリWindows MobileからAndroidに書き換える方法で、「Haret」なら内蔵フラッシュメモリを一切使わずにmicroSDAndroidを入れる方法となる。今回は「Haret」を選択した。
  4. 「Device」からスマートフォンのモデル名を選択する。今回はEMOBILE S11HTEMONSTER)なので「Kaiser」を選択した。
  5. 「Resolution」からスマートフォンの解像度を選択する。今回はEMONSTER S11HTEMONSTER)なので「240x320」を選択した。
  6. 「Version」からインストールするAndroidのバージョンを選択する。今回は「system-froyo-01-10-10_16.tgz」を使うので「Froyo」を選択した。
  7. 「Panel Type」からスマートフォンの液晶パネル種別を選択する。今回はEMOBILE S11HTEMONSTER)なので「2」を選択した。
  8. 「Key Map」からすマートフォンのキーボード種別を選択する。今回はEMOBILE S11HTEMONSTER)なので「Normal」を選択した。
  9. 「More settings」からCPUやGPUオーバークロック等を設定できる。今回は何も設定していない。
  10. 「Fstab」からシステム、データ、スワップの領域としてどこを使うのかを設定できる。今回は全て自動判別の「Auto」を選択した。
  11. フロッピーディスクのアイコンをクリックして、これらの設定を「default.txt」として保存する。(画面最下段に「Haret config file saved」と出てくる)
  12. 何かの上に乗っている地球のアイコンをクリックして、カーネルを「zImage」としてダウンロードする。(画面最下段に「File Downloaded」と出てくるまで待つ)
  13. 下矢印が書かれたファイルのアイコンをクリックして、起動用ファイルシステムを「initrd.lzma」としてダウンロードする。(画面最下段に「File Downloaded」と出てくるまで待つ)
  14. HaRETは安定版カーネルを使う場合はAndroid HTCプロジェクトのダウンロードページから最新版のharetinstall.zipに含まれるharet.exeを、開発版カーネルを使う場合はIndex of /vogue/filesから最新版のharet-for-kernel-2-6-32.exeのように「32」の文字が含まれるものをダウンロードする。今回は開発版カーネルを使うので後者をダウンロードした。

AtoolsのMixerでカーネルモジュールを統合する

  1. 箱の前に置かれたCDとフロッピーディスクのアイコンをクリックして「Mixer」を開く。
  2. (+)マークのアイコンをクリックして、androidinstall.tgz(または.tar)に相当するファイルを開く。今回は「system-froyo-01-10-10_16.tgz」を使うのでこれを選択した。
  3. androidinstall.tgz(または.tar)と組み合わせるカーネルに応じたモジュールをダウンロードするために、開発版カーネルならば「2.6.32 Modules」から、安定版カーネルならば「2.6.25 Modules」から、対応するモデル名の箇所の下矢印が書かれたファイルのアイコンをクリックしてダウンロードする。ここで「Set a working directory!」と出るので「OK」をクリックした後、androidinstall.tgz(または.tar)に相当するファイルのあるフォルダを指定すると、modulesフォルダが新たに作られて、中にカーネルモジュールがダウンロードされる。(画面最下段に「Downloading file 100 %」と出てくるまで待つ)今回は安定版カーネルEMOBILE S11HTEMONSTER)で使うので「2.6.32 Modlues」の「Default (Kaiser,Vogue)」を選択した後、「system-froyo-01-10-10_16.tgz」を置いてあるフォルダを指定したところ、2.6.32-default.tgzがダウンロードされた。
  4. 渦巻きアイコンをクリックして、androidinstall.tgz(または.tar)に相当するファイルとダウンロードしたモジュールをdistrフォルダに解凍する。(「Mixed objects」内のファイル名がすべて緑色になるまで待つ)
  5. フロッピーディスクのアイコンをクリックして、androidinstall.tgz(または.tar)に相当するファイルとカーネルモジュールを統合したandroidinstall.tgzを新規作成(圧縮)して保存する。尚、保存先はデスクトップなどの日本語を含むフォルダにすると圧縮時にエラーが出る模様。(画面最下段に「Androidinstall Ready!」と出てくるまで待つ)
  6. これらの作業が終われば、modulesフォルダ、distrフォルダは不要なので削除してもかまわない。

AtoolsのBoot script editorでインストール先の容量などを指定する

  1. 歯車とペンのアイコンをクリックしてBoot script editorを開く。
  2. 「Setup space」の「System」及び「Data」からシステムとデータのインストール先を選択する。「Nand」は内蔵フラッシュメモリ、「Sd partition」はmicroSDカードのパーティション、「Image disk」はmicroSDカード上の仮想ディスクイメージで、仮想ディスクイメージを使う場合はここでシステムおよびデータの容量も指定できる。今回はmicroSDカードに入れるので「Image disk」を指定し、それぞれの容量はデフォルトのままの256MBにした。
  3. 初めてインストールなので「Simple Actions」から「First Install」を選択する。これを選択することでインストール先の「System」と「Data」の「Erase」のチェックが入る。
  4. microSDカードにパーティションを作成したい場合は「Actions」の「Use SD partioner」にチェックを入れて、「Disk options」の「Disk size」でmicroSDカードの容量、「Number of partition」で作成するパーティション数を指定。「SD Partitions」でパーティションを選択して「Partition x info」(xはパーティション番号)の「Fs type」でファイルシステムの形式(パーティション1はfat32のみ)、「Size」で容量(末尾のパーティションから変更する方が良い)を変更できる。
  5. フロッピーディスクのアイコンをクリックして、これらの設定を「install-seq.sh」として保存する。(保存先がこれまでと違うので注意)
  6. 電源ボタンのアイコンをクリックしてAtoolsを終了する。

Androidのインストール

  1. microSDカードにandbootフォルダを作って、ここまでの作業でダウンロード及び作成したdefault.txt、zImage、initrd.lzma、androidinstall.tgz、install-seq.shをandbootフォルダに入れる。
  2. microSDカードをEMOBILE S11HTEMONSTER)に挿入して、Windows Mobileのファイル エクスプローラからメモリ カードのANDBOOTフォルダを開き、HARETを実行する。ここで「このプログラムの発行者は不明です…」と表示されたら「はい」を選択する。
  3. HARETが起動したら「Run」ボタンを押す。しばらくすると画面にペンギンの絵が出てくるが、ここで中央ボタンを押し続ける必要はなく、放っておけば自動的にインストールが始まり、終わったらAndroidが自動的に起動する。

Androidの初期設定

  1. Androidが起動してもすぐに操作しない方がいい。裏で色々と起動処理が動いているのか、全体的に動作が遅いことが多いので、スリープして画面が消えるまで待つくらいでちょうどいい気がする。スリープして画面が消えていたら、電源ボタンを長押しして画面を点ける。
  2. 鍵マークを右にスライドさせてロックを解除する。(画面が点いたら素早く鍵マークを押してバイブレータがブルッと震えたら、押したまま右へスライドさせる)
  3. SIMカードを入れてない場合はMENU(Windowsキー)を押してSettings→Language & keyboard→Select language→日本語の順に選択すれば日本語化される(ただし、アプリ名は再起動するまで英語のまま)。戻る(okキー)を2回押すとホーム画面に戻る。同様にMENUを押して、設定→日付と時刻→自動(チェックをはずす)→タイムゾーンの選択→日本標準時(東京)の順に選択してタイムゾーンを日本に合わせる。戻るを2回押すとホーム画面に戻る。
  4. SIMカードを入れていない場合はWindows Mobileで表示される時刻よりも9時間進んでいるので、MENU→設定→日付と時刻→自動(チェックをはずす)→時刻設定→(時刻を合わせて)設定→戻る→戻る、と操作する。
  5. SIMカードを入れてパケット通信を行なう場合は、MENU→設定→無線とネットワーク→モバイルネットワーク→アクセスポイント名→MENU→新しいAPN→名前→(embと入力して)OK→APN→(emb.ne.jpと入力して)OK→ユーザー名→(emと入力して)OK→パスワード→(emと入力して)OK→MCC→(440と入力して)OK→MNC→(00と入力して)OK→MENU→保存→戻る→戻る→戻る→戻る、と操作する。
  6. 無線LANを使う場合は、MENU→設定→無線とネットワーク→Wi-Fi(チェックを入れる)→Wi-Fi設定→(Wi-Fiネットワークからアクセスポイントを選択)→(パスワードを聞かれたらパスワードを入力して)接続→戻る→戻る→戻る、と操作する。
  7. 無線LANで現在地を調べられるように、MENU→設定→現在地情報とセキュリティ→無線ネットワークを使用(チェックを入れる)→同意する→戻る→戻る、と操作する。
  8. Androidマーケット等を使うにはGoogleアカウントが必要なので、MENU→設定→アカウントと同期→アカウントを追加→Google→次へ→ログイン→(ユーザー名とパスワードを入力して)ログイン→戻る→戻る、と操作する。ここでGoogleアカウントを新規取得することも出来る。

その他の設定

  • 画面が消えるまでの時間がデフォルトでは1分と短いので、MENU→設定→表示→バックライト消灯→(30分などを選択)→戻る→戻る、と操作して変更する。
  • ACアダプタ接続時はスリープしないように、MENU→設定→アプリケーション→開発→スリープモードにしない(チェックを入れる)→戻る→戻る→戻る、と操作する。
  • 画面が消えると無線LANが休止してしまうので、MENU→設定→無線とネットワーク→Wi-Fi(チェックを入れる)→Wi-Fi設定→MENU→詳細設定→Wi-Fiのスリープ設定→スリープにしない→戻る→戻る→戻る→戻る、と操作して休止しないようにする。
  • Androidマーケット以外からアプリケーションをインストール出来るように、MENU→設定→アプリケーション→提供元不明のアプリ(チェックを入れる)→OK→戻る→戻る、と操作する。
  • Bluetoothを有効にする場合は、MENU→設定→無線とネットワーク→Bluetooth(チェックを入れる)→Bluetooth設定→端末名→(S11HTなどと入力して)OK→戻る→戻る→戻る、と操作する。
  • 正しい現在地情報がアプリに反映されるように、MENU→設定→アプリケーション→開発→擬似ロケーションを許可(チェックをはずす)→戻る→戻る→戻る、と操作する。

ここで一旦電源を切って(シャットダウンして)再起動した方が良いと思う。

電源を切る/入れる

  • 電源オフ(スリープ、サスペンド)は、電源ボタンか終話ボタンを押す。
  • 電源オン(レジューム)は、電源ボタンを長押しして画面が点いたら、鍵マークを右にスライドしてロックを解除する。
  • 電源オフ(シャットダウン)は、電源ボタンか終話ボタンを長押しして、電源を切る→OK、と選択する。
  • 電源オンは、電源ボタンを長押ししてWindows Mobileが起動したら、スタート→プログラム→ファイル エクスプローラ→上へ→メモリ カード→ANDBOOT→HARET→(このプログラムの発行者は不明です…と出たら)はい→Run、でAndroidが起動する。

アプリケーションの設定

  • マーケットは初回起動時に「Androidマーケット利用規約」が出てくるので「同意する」を選択する。ダウンロード履歴を選択すると、最初から入っているGmailの更新が行える。アプリケーションの検索は右上の虫眼鏡ボタンから行う。
  • マップ [brut]、ナビ [brut]、プレイス [brut]、Latitude [brut] が標準で入っているが、マーケットからモバイルGoogleマップをインストールすることで、最初から日本地図が表示されたり、ナビの案内音声が追加された [brut] の付かないものが入れられる。
  • マップは初回起動時に「マップの新機能」が出てくるので「OK」で閉じる。ここでしばらく待って「ログインできませんでした」と表示されたら、MENU→その他→ログイン、しばらくするとGoogleアカウントを追加の画面になるが戻るボタンを押す。再び「ログインできませんでした」と出るが無視して、画面最上段左側に出ている(!)マークを押さえて下にスライドし、「次のアカウントにアクセスする権限」を選択して「許可」を選択する。
  • この他にも最初から入っているVoice Search(音声検索)、ナビメニュー(Car Home)、YouTube等をマーケットからインストールすることで新しいものに置き換えられる。
  • 日本語入力はマーケットからOpenWnn plus等をインストールした後、MENU→設定→言語とキーボード→OpenWnn plus(等にチェックを入れる)→(注意が表示されたら)OK→戻る→戻る、と操作することで行えるようになる。予め、文字の入力エリアをペンで押さえたした後、入力エリアをペンで押さえ続けて、入力方法→OpenWnn plus(等を選択)で、再び入力エリアをペンで押さえるとフリック入力のキーボードが画面に表示される。戻るボタンでキーボードは消える。本体内蔵キーボードを出している場合は画面最上限に「あ」と表示され、ローマ字かな漢字変換で日本語入力が出来る状態になっている。尚、アルファベットを入力する場合はShiftを押しながらSpace/変換を押すことで画面最上段が「AB」に切り替わり、アルファベット入力モードになる。再度同じ操作でローマ字かな漢字変換モードに戻る。
  • ニュースと天気で「天気予報は現在ご利用いただけません。」と出る場合は、MENU→更新を行う。
  • ブラウザは初回起動時にホームページとしてGoogleが開くが、ここでしばらく待っていると「www.google.comが現在地情報をリクエストしています」と出てくるので「位置情報を共有」を選択すると、検索ボックスの下に現在地の情報が出てくるようになる。
  • Voice Searchは初回起動時に「現在地を使用」が出てくるので「同意する」を選択すると、キーワードに対応する検索結果に現在地が考慮されるようになる。
  • SIMカードを入れていない場合、日付と時刻の自動調整が出来ないので、これをインターネット経由で行えるようにするには、マーケットからClockSyncをインストールする。ClockSyncは初回起動時に「What's new」が表示されるので「Close」で閉じる。現在時刻がAtomic time、本体の時計がSystem Time、現在時刻とのズレがLocal offsetとして表示されるので、MENU→Settings→NTP server→(プロバイダのNTPサーバもしくはntp.jst.mfeed.ad.jp等を入力して)OK→Enable(チェックを入れる)、その他も必要に応じて設定を変更し、戻るボタンを押す。MENU→Synchronizeで「Superuser リクエスト」が出るので「許可」を選択する。
  • 従来の携帯電話のように画面に常時時計が表示されるようにするには、時計を起動する。大きなデジタル時計に加えて、現在地の天気と温度、バッテリー充電状況などが常時表示される。太陽マークで輝度を落としたり、長押しでスリープ時の最低輝度での時計のみの表示に切り替えることも出来る。
  • 簡単に無線LANBluetoothのON/OFF、輝度調整を行うには、左右全部で5つあるホーム画面の好きなところで、MENU→追加→ウィジェット→電源管理を行うと、これらを簡単に行えるパネルが画面上に配置される。
  • microSDカードをUSBマスストレージでPCから認識させる等のSDカードに関する操作は、microSDカード上にAndroidのシステムやデータを置いている為、ほとんどこれらの操作は行えないものと思われる。
  • カメラは位置情報の記録やジョグホイールによるフォーカスの調整が行え、基本的に問題なく使えるが、ビデオカメラは動作しない。ビデオカメラに切り替えるとカメラアプリケーションが強制終了する。
  • YouTubeが快適に再生できない場合は、マーケットからYouTubeを更新したり、RogueToolsをインストールして、520MHzくらいにオーバークロックすると良いかも知れない。

スクリーンショットやキー操作など

過去の日記のEMONSTER(S11HT)対応のAndroidをmicroSDカードにインストールするが参考になると思うが、VaniljEclair_RLS11.zipを使った時と違い、左側面のジョグホイールは音量を上げる/下げるに割り当てられていた。