iPodとRockbox

 吉田君は駆動部の無いシリコンオーディオに惹かれてiPod nano(2GB)を近所のケーズデンキだかで買ったらしい。でも、iTunes使って無圧縮で取り込んだデータは再生できないってのを知って、オーディオ関係のサイトを回っているうちに劇的に音質を向上させるファームウェアRockboxってのを知ったらしい。これを入れる手順が結構複雑で、しかもiPod nano(2GB)の場合は手順を間違えてガレキにしてしまった人がいるらしいとのこと。

iPodのディスク構成

 何はともあれ、iPodへのRockboxの導入手順を見てみる。iPodの内蔵メモリ(内蔵ディスク)は2つのパーティションに分かれていて、1つ目がファームウェアの領域(iPodのシステム)、2つ目がFAT32で普通にドライブとして見える領域になっている。1つ目は未割り当て領域となっているので、OSからは基本的に見えない。

Rockboxを動かすための仕組み

 まずは、このファームウェアiPod標準以外のシステム「も」起動できるようにするためのブートローダ(起動プログラム)を仕込んでやる。ただし、iPodファームウェアが動くことでUSBストレージとして認識するので、誤ってファームウェアを壊してしまうとUSBストレージで認識しなくなるので、HDDを取り出すことができないiPod nanoではどうしようもなくなる。つか、ガレキになってしまう(汗)

iPod nanoのバージョンに注意

 てな訳で、iPod nano(黒:2GB)について調べてみる。どうやら白と黒は最初に発売されたモデルらしい。ファームウェアのバージョンはiPodのメニューから設定→情報で確認できる。このバージョンが1.2以降になっているとiPod Video(第五世代iPod)と同等に扱う必要があるらしい(要はブートローダiPod Video用で仕込む)が、ファームウェアは1.1だったので安心してiPod nanoの手順で進める。

iPodの仕様

 iPodWindowsマシン等に繋ぐとUSBストレージとして認識され、Eドライブとか、Fドライブとか適当なドライブ名が割り当たる。本体はホイール上部のMENUを押せば電源ON、ホイール下部を押し続ければ電源OFF、ホイール上部と中央ボタンを押し続ければリセット(再起動)ができる。

ファームウェアの書き換え

 ここでRockboxの公式サイトから、iPodファームウェア領域を読み書きするためのipodpatcher.exeと、ipodpatcher.exeで読み出したファームウェア領域からiPodファームウェアを取り出したり、ファイルを結合して新しいファームウェアを作成できるipod_fw.exe、あとiPod以外のシステム(Rockbox)も起動できるiPod nano用のブートローダbootloader-nano.binをダウンロードして、Cドライブの直下に入れておく。

 コマンドプロンプトを開いて、ipodpatcher.exeのパラメータに0を指定して実行し、iPodのディスク構成が表示されなければ、1を指定して再度実行する。こんな具合に表示されなければ、2、3、4、5、6…と順番に数字を上げながら実行して、iPodのドライブを探す。残念ながら0がCドライブとかってな具合に対応してる訳じゃないらしい。

C:\>ipodpatcher 6

 今回は6で見つかったので、ipodpatcher.exeで現在のファームウェアの領域をまるごと「bootpartition.bin」(何でもいい)の名前で吸い出す。(-r オプションでファームウェア領域の読み出し)

C:\>ipodpatcher -r 6 bootpartition.bin

 ipod_fw.exeを使って、ファームウェアの領域をまるごと吸い出したファイル「bootpartition.bin」から、iPodファームウェアを抜き出す。

C:\>ipod_fw -o apple_os.bin -e 0 bootpartition.bin

 iPodの元のファームウェア以外も起動できるiPod nanoブートローダ「bootloader-nano.bin」と、さっき抜き出したiPodの元のファームウェアをまとめて新しいファームウェアのファイル「rockboot.bin」をipod_fw.exeで作成する。

C:\>ipod_fw -g nano -o rockboot.bin -i apple_os.bin bootloader-nano.bin

 出来上がった新しいファームウェアiPodに書き込む。この時に指定する数字は、ファームウェアを吸い出した時に指定した数字と同じなので、今回は6を指定している。

C:\>ipodpatcher -w 6 rockboot.bin

 あとはiPodWindowsマシンから外せば、自動的に再起動される。再起動されなければ、ホイール上部のMENUと中央のボタンを押しっぱなしにすれば、しばらくしてリンゴマークが表示されるので、ボタンから手を離す。
見慣れない文字が一杯出た後、しばらくしていつものiPodの画面が出てきたら無事ガレキにならずに済んだということ。

Rockboxのインストール

 RockboxiPod用公式リリース(releases)はまだ出てないので、デイリービルド(Daily builds)からiPod Nano 1st gen(iPod nano 第一世代)のlatest(最新版)をダウンロードする。

 ZIPファイルを解凍して出てきた「.rockbox」フォルダと、「rockbox.ipod」ファイルを、iPodWindowsマシンに接続して認識したドライブにコピーすればインストールは終了。

Rockboxの起動

 ホイールの上部(MENU)と中央のボタンを押し続けて、リンゴマークが出たところでボタンを離せば、Rockboxが起動する。電源OFFはホイールの下部を押し続けるとShutdown(シャットダウン)と表示された後、しばらくして画面が消える。

 元のiPodを起動させたい場合は、ホイールの上部(MENU)と中央のボタンを押し続けて、リンゴマークが出たところで中央のボタンだけを離して、ホイールの上部(MENU)は押し続けていれば、いつものiPodの画面が表示されるのでボタンを離す。

Rockboxの操作

 通常はフォルダやファイルの一覧が表示されているので、選択していけば音楽や画像、ビデオなどの再生が行なえる。再生停止はホイール下部を押し続ける。中央ボタンを押すと再生しながら他のファイル選択が行なえる。

 メニューはホイール上部(MENU)を押せば表示される。決定は中央ボタン、キャンセルはホイール左部を押す。

日本語化とかiPod風の見た目にする

 日本語フォント(.fnt)を.rockboxフォルダのfontsフォルダ(無ければ作って入れる)に入れたり、見た目のデザインを決めるテーマ(.wps)を.rockboxフォルダのwpsフォルダに入れて、メニューから選択すればいい。